沖縄移住の現実は?沖縄移住8年目の経験者が語るメリット・デメリットと島暮らしを楽しむコツ

こんにちは! 沖縄なうです。

きれいな海と青い空、優しい人々に囲まれて暮らす生活を夢見て、沖縄移住を考える人は多いものです。観光雑誌や写真集、ダイビングの動画などを閲覧して、島暮らしに憧れる人もいることでしょう。

しかし、沖縄に遊びに行くこと・沖縄で暮らすことには大きなギャップが存在します。今回は沖縄に移住して8年の経験を持つ筆者の観点から沖縄移住のメリット・デメリットについて解説をしますので、自分自身の気持ちと今一度向き合いましょう。

沖縄移住の現実は?よくある失敗3パターン

沖縄振興開発金融公庫によると、主要な大都市から沖縄移住を検討する人の多くは「自分らしい生き方を実現したい」「自然が豊かな環境で生活したい」といった希望を持ちます。

しかし、実際に生活をし始めると、理想と現実のギャップに気付き、他の都道府県へ転出する人も見られることが実際のところ。沖縄移住のよくある失敗パターンは、以下のような内容です。

1.金銭的な問題

まず、金銭的な問題です。「現在の生活スタイルを維持したまま、沖縄で暮らしたい」と考える人は、沖縄移住に失敗するケースがあります。厚生労働省「平成 30 年賃金構造基本統計調査の概況」によると、沖縄県の平均賃金は246.8万円です。東京都の380.4万円・大阪府の329.1万円と比較すると約82万円から134万円も低いため、節約努力を行わなければなりません。

「外食生活から自炊中心の生活に切り替える」「外食で行くお店のランクを下げる」といった努力に強い苦痛を感じる人は、「沖縄移住に向かない人」です。

2.地元の人になじめない

沖縄県に限ったことではなく、地元の人には地元の人の人間関係や生活スタイルが存在します。沖縄県民の人間関係、生活スタイルになじむことができないと、快適に暮らすことは困難です。

いつまでも「ないちゃー(沖縄県で他の都道府県から来た人を指す言葉)と呼ばれることで心の距離を感じ、沖縄県を離れてしまう人もいます。

3.気候が合わない

亜熱帯気候の沖縄は湿度の高い日が多く、頻繁に雨が降ります。晴れの日は、直射日光が非常に強く、紫外線対策が必須です。沖縄特有の気候に合わない人は長期間の生活が難しく、「旅行で十分」といった判断に到るケースも存在します。

どれほど「沖縄が好き」という想いがあっても、体質と気候のミスマッチを乗り越えることは大変です。事前に1ヶ月の「お試し移住」に挑戦するなど、沖縄の気候と自分自身の相性を確かめることで、リスクヘッジに努めましょう。

沖縄移住のメリット・デメリット

沖縄移住には非常に多くのメリットがある反面、デメリットがあることもまた事実です。以下では、沖縄移住のメリット・デメリットを具体的にご紹介します。

沖縄移住のメリット

まず、沖縄移住のメリットを解説します。以下のようなメリットを魅力に感じる人は、「沖縄移住に向く人」です。

1.真冬でもダウンコートいらずの温かさ

沖縄の年間平均気温は23.1℃程度と1年通じて温かく、安定した気候です。真冬でも10℃を切る日は非常に少なく、寒さが苦手な人にとって過ごしやすい地域といえます。

クリスマスのイルミネーションを見に行くにしても大晦日の初詣に出掛けるにしても、ダウンコートがいらないことは、非常にうれしい特徴です。真冬の夜の外出も、厚手のパーカーやブルゾンを羽織る程度で対応できます。

2.週末はマリンアクティビティを楽しみ放題

きれいな海で毎週のように遊べることは、沖縄移住の醍醐味です。沖縄本島から日帰りできる離島も多く、透き通るような海でシュノケーリングを楽しんだりダイビングのラインセンス取得に挑戦したり。「これぞ、沖縄」というマリンアクティビティを時間の許す限り楽しむことが可能です。

3.花粉症とは無縁の生活

スギやヒノキは、寒い冬が終わって気温の上昇を感じると、多くの花粉を飛ばします。年間通して安定した気候の沖縄県では他の都道府県ほど多くの花粉が飛ばないため、花粉症と無縁の生活を送ることが可能です。沖縄県の森林にスギやヒノキが少ないことも、花粉症から解放される理由の1つ。「目がかゆくてたまらない」「春はマスクが手放せない」といったストレスを感じることなく、快適に生活できます。

4.国内旅行も海外旅行も行きやすい

那覇空港は、全国各地に対する直行便が非常に多く、里帰りが容易です。東京や大阪、愛知といった大都市に対してはLCCの直行便も存在するため、飛行機代を安く抑えることもできます。

また、那覇空港は台湾や韓国、中国といったアジア各地へ向かう便も豊富です。希望によっては「金曜の夜の便で台湾に行き、日曜には帰宅する」といった弾丸旅行にも挑戦できます。

5.せんべろ酒場の飲み歩きがとにかく楽しい

那覇市内の居酒屋のいたるところで見掛ける「せんべろ」の文字。「せんべろ」とは、「1,000円でべろべろに酔える」といった意味を示す造語です。せんべろ酒場の多くは「ドリンク3杯+おつまみ1品が1,000円」といったようなセットを作り、仕事帰りの会社員や休日の一人飲みのお客さんを受けいれます。

せんべろ酒場は那覇市内の到るところに存在するため、「1件目はおつまみメインのお店・2件目はビールと焼酎を豊富に扱うお店」といったように、その日の気分に合わせて飲み歩くことが可能。2件をはしごしても1,000円札2枚といったお財布に優しく、飲み歩きを気軽に楽しめるシステムです。

沖縄移住のデメリット

沖縄移住のデメリットを正しく理解しておくことが、生活を始めた後の後悔を防ぐコツです。以下のようなデメリットが伴うことを理解し、移住するかどうかを判断しましょう。

1.公共交通機関の選択肢が少ない

沖縄県には、地下鉄や電車がありません。那覇市内にはモノレールがあるものの(2020年10月現在は浦添市まで開通。順次、路線が伸びる予定です。)他の市区町村ではバスのみが公共交通機関の選択肢です。

沖縄のバスは路線図が複雑ですから、移住してからしばらくは「どのバスに乗ると、どこに行くか」といった判断に悩みます。バスの運賃も安いとはいい難く、マイカー派の人以外は不便を感じる可能性が否めません。

2.毎日のように交通渋滞が発生する

沖縄県は車社会であるため、毎日のように交通渋滞が発生します。国道58号線・330号線といった主要な道路が通勤時間に渋滞することは、地元の人にとって周知の事実。雨の日や観光シーズンは時間帯に関係なく渋滞が発生するケースも多く、運転中にストレスを感じる状況は避けられません。

3.台風のレベルが違う

沖縄県は非常に強い台風の影響を受けやすく、十分な対策が必要です。地元の人は、台風の来る前にスーパーへ買い出しに行き、菓子パンやインスタント食品、飲み物などを買い込みます。台風期間は商品の入荷が滞るため、「数日間はスーパーの棚がガラガラ」といった状態に陥ることもしばしばです。

地域によっては台風による断水が生じやすく、「浴槽やバケツに水を溜める」などの対策を要します。停電に備えて、懐中電灯や電池で使用できるスマホ用の充電器、カセットコンロなどの用意も必要です。

台風が過ぎ去った後は、ベランダの掃除をしたり洗車をしたりといった面倒な作業が発生します。洗車場には長蛇の列ができるケースも多く、台風が来る度にストレスを感じる可能性が否めません。

4.騒音が気になりやすい

大きな音が苦手な人にとっては、騒音が厄介です。那覇市内など特定のエリアでは早朝から飛行機が飛び、隣の人と会話できない位の騒音が気になることもしばしば。国際通りや松山など観光スポット・歓楽街に近い場所に済む人は、カラオケやBGM、飲み会を楽しむ人たちの話声に悩まされるケースもあります。

また、沖縄県では、いわゆる「走り屋」集団を見掛けることが多く、深夜に走るバイクの音が厄介です。

沖縄移住を成功させるための心構え・事前準備

最後に、沖縄移住を成功させるための心構えや事前準備を解説します。しっかりとした心構えと十分な事前準備を持って沖縄移住に臨むことで、デメリットをものともせず、島暮らしを楽しむことが可能です。以下の内容を頭に入れて、沖縄移住成功に向けた最初の一歩を踏み出しましょう。

沖縄移住≠リゾートライフと認識する

沖縄移住となれば、都会の生活と同じように毎日働き、暮らしを成り立たせなくてはなりません。「プールのほとりでトロピカルジュースを飲みながら、デイベッドに寝そべる」といったリゾートライフと沖縄移住の間には、明確な違いが存在します。移住前に過剰な期待を抱いて沖縄に来ると「このようなはずでは」というギャップが大きく、後悔を招いてしまう原因です。

「楽しいことばかりではない」という現実を受け入れ、「それでも沖縄で生活したい」と思える人は移住の準備を進めましょう。

沖縄県民がルールブックと考える

沖縄県には「うちなーたいむ」という言葉が存在します。飲み会開始時間に居酒屋に行っても誰もいない。友人に電話をかけると「そろそろ、シャワー浴びて支度しようね」と悪びれた様子もなく言われる。といった状況が頻繁に生じます。

これはあくまで一例にすぎず、移住後は、考え方や行動様式の違いに驚くことが出てくるはずです。ここで、自分の考え方・行動様式を押し付けることは、地元の人との心の溝を深める結果になりかねません。「明らかにおかしい」ということ以外は現地の人をルールブックと考えて、自分の方から歩み寄る、広い心を持ちましょう。

十分な移住資金を用意する

沖縄移住を成功させるためには、十分な資金準備も必要です。那覇市内など利便性の高い場所に住むこと希望する場合、他の都道府県の都市部に住む場合と同程度の家賃を要します。東京都以外の都道府県から移住する人の場合、家賃がかえって高くなる可能性が否めません。

スーパーマーケットやコンビニに並ぶ食品は、沖縄県外の価格と同程度もしくは若干割高。十分な資金準備がなければ日に日に減少する預金残高に不安を感じ、移住後の暮らしを楽しめません。

大まかな目安としては、引越費用などの初期費用を除き、3ヶ月分の生活費をまかなえる程度の預金があると安心です。「沖縄に移住しよう」と考え始めた段階から貯金に励み、移住後の生活費の確保に努めましょう。

移住前に仕事を探す

「そうはいっても、まとまった移住資金を用意することが大変」という人は、移住前に仕事を探し、収入基盤を確保しましょう。たとえば、沖縄県では、人材不足に悩む企業に対するサポート手段として「県内企業人材確保支援事業・りっか沖縄」を運営します。東京都・大阪府にも相談窓口が存在し、移住前の仕事探しが可能です。

「正社員にこだわらない」という人は、以下のような選択肢を検討してもよいでしょう。

  • 住み込みのリゾートバイトに応募する。
  • 職務経験やスキルを活かした在宅ワークに挑戦する。
  • 沖縄県の求人を扱う派遣会社に登録する。

沖縄県の仕事探しを実際に進めることは、収入見込み金額を確定させることにも貢献します。「月収18万円で暮らすためには、どうすればよいか」と考えると、家賃の上限が見えてくるため、物件探しもスムーズです。通勤の利便性を考えると、「どこの地域に住むか」「マイカーは必要か」といった詳細事項も決まります。

家族とよく話し合う

配偶者や子どものいる人の場合、自分自身の意向のみでは、沖縄移住を叶えることが困難です。家族とよく話し合い、沖縄移住するかどうかを決めましょう。沖縄県はシングルマザーが多いことから、保育園や一次預かり施設は比較的豊富です。沖縄県民は子どもが好きな人が多く、子育て世帯を温かく見守る風土が存在します。基本的には子育てしやすい島であるため、配偶者や子どもの合意さえ得ることができれば、不安なく移住が可能です。

まとめ

この記事では、沖縄移住のよくある失敗パターンと移住を成功させるためのノウハウを解説しました。十分な事前準備を行い、地元の人と寄り添う気持ちを大切に島暮らしに臨むことが沖縄移住を成功させる何よりのポイントです。

「沖縄が好き」という漠然とした理由のみで見切り発車をしてしまうと、後悔の残る結果となりかねません。この記事の内容を参考に自分自身の想いと向き合い、沖縄移住に向けた事前準備を始めてください。

関連記事