沖縄の復帰運動に火をつけたのは魚屋のオバーだった!? 沖縄復帰運動の起爆剤「サンマ裁判」を追うノンフィクション
出版社イースト・プレスは5月2日に『サンマデモクラシー:復帰前の沖縄でオバーが起こしたビッグウェーブ』(山里孫存 著)を刊行します。
概 要
2022年の今年、1972年の沖縄本土返還から50年の節目の年をむかえます。
本書『サンマデモクラシー』は、1960年代に盛り上がった本土復帰運動の「起爆剤」といわれる、「サンマ裁判」を追うノンフィクションです。
まだ沖縄がアメリカに統治され「日本じゃなかった」時代。祖国復帰を願うウチナーンチュが日本の味として食べていたサンマ。このサンマにアメリカは不当に税を課していました。
「なんでこんなにサンマが高い? ガッティンナラン!」
とられた税金をとりもどすため、怒れる魚屋のオバーがアメリカ相手に裁判を起こします。その裁判は、いつしか沖縄全土を巻き込む大きなうねりとなっていきます。
沖縄県で約1年にもおよぶロングラン上映となった傑作ドキュメンタリー映画「サンマデモクラシー」(沖縄テレビ制作)に、さらなる取材と詳細な資料を追加して書籍化しました。
本土返還へとむかう時代、パワフルでチャーミングに生きたウチナーンチュたちが活躍する本書をぜひご覧ください!
時代背景
目次
プロローグ
第1章 魚屋の女将・玉城ウシを探せ
首里城炎上/魚屋の豪傑女将/ウシさんはどこに?/県民の台所・牧志公設市場/市場での聞き込み/難航する捜索/ついに手がかりが!/ジランバ屋に行け!/泊の魚市場へ/沖縄とサンマ/ウシはどんな人?/明治の糸満に生まれる/漁師町・糸満の日々/魚仲買人の仕事に就く/働き者のウシ/母カメの言葉
第2章 サンマと布令
「アメリカ世」と呼ばれた時代/絶対権力者、高等弁務官/サンマ裁判の記録/フレーってなんだ?/強引なアメリカの担当官/サンマに咬みついた与党議員/高等弁務官の強権
第3章 旋風と呼ばれたキャラウェイ高等弁務官
歴代最強の高等弁務官/キャラウェイの統治/沖縄は日本じゃない/復帰運動の闘士/沖縄放送界のレジェンド/自治は神話/キャラウェイの真意/「彼らは二枚舌」/ふたたびの課税、主婦たちはデモを決行
第4章 サンマ裁判の弁護士・下里ラッパ
ウシおばぁの弁護人は誰だ?/弁護士の名は下里恵良/「ラッパ」と呼ばれた破天荒な男/ビッグマウスの人気者/宮古島に生まれる/タダ食いでマナーを学ぶ/就職先は宮内省/どこまでホント? ラッパ伝説/そしてラッパは海を渡る/そのころウシは……/政治結社のリーダーに/ラッパの初出馬/会社をクビになり南方へ/そして終戦/人気弁護士から初当選/紆余曲折あって念願の議員に/ウシとの邂逅
第5章 サンマはどう裁かれたか
請求額は四万六九八七ドル六一セント/サンマ裁判いよいよ始まる/コロンの意味まで持ちだした/下里ラッパの戦い方/琉球政府はすぐに上告/ウシには娘がいた/フィリピンに渡った妹/十・十空襲/内地からやってきた県知事/沖縄戦/鉄の暴風雨にさらされた島/悲しい知らせ/マニラ大虐殺/琉球上訴裁判所の判決は?/サンマ裁判ついに結審/キャラウェイの反撃「修正布令」/沖縄はまだ「みせかけの民主主義」/さよならキャラウェイ
第6章 第二のサンマ裁判
沖縄を駆け抜けた聖火/第二のサンマ裁判を起こした男/キャラウェイとの因縁/復帰の潮目が変わった/嵐を呼ぶ第二のサンマ裁判/沖縄史にのこる暴挙「裁判移送問題」/行動する裁判官たち/「裁判官の抗議文」の原本を追って/抗議文が見つかった!/島ぐるみの闘争へ
第7章 サンマとカメ
伝説の政治家カメジロー/人民党事件/生死の境をさまよう亀次郎/カメジローが戻ってきた!/度重なるアメリカの弾圧/「瀬長布令」で追放/カメジローとサンマ裁判/移送されたもうひとつの裁判/トラはなにをした?/ふたつの裁判はビッグウェーブへ/ワッサン去ってアンガー来たる
第8章 伝説となった祈り
アンガーの就任式での事件/若き牧師の祈りの言葉/就任式の舞台裏/宣教師エルダーとの再会/共に作りあげた祈りの言葉
第9章 友利・サンマ裁判ついに決着
友利裁判の意外な判決/第二のサンマ裁判の判決は……/あの夏の沖国大で/全国ニュースはわずか四十秒/「友利・サンマ裁判」の判決をどうみるか/なぜふたつの裁判は一緒に移送されたのか/ふたつの裁判の意思を受け継いだ「闘い」/教公二法の闘い/立法院前での攻防
第10章 サンマに火をつけたのは誰か
下里ラッパと亀次郎のその後/ラッパとカメの友情/サンマ裁判を焚きつけたのは誰か/きっかけはカマボコだった/ラッパは「パーキンス書簡」を叩いた/ウシとラッパの闘牛
第11章 民主主義とは?
復帰までの激動の五年間をプレイバック!/一九六八年「主席公選」/一九六九年「佐藤・ニクソン共同声明」/一九七〇年「コザ暴動」/一九七一年「復帰法案強行採決」/一九七二年「本土復帰」/団結の唄「沖縄を返せ」/やっぱり「自治は神話」なのか/ふたたびハーバービューホテルで/民主主義とは?
エピローグ
書誌情報
・山里孫存(沖縄テレビ)
・サンマデモクラシー:復帰前の沖縄でオバーが起こしたビッグウェーブ
・1,650円(本体1,500円+税10%)
・四六判/ソフトカバー/328頁
・2022年5 月4 日
・イースト・プレス